宮崎大学
ニュースリリース

発熱植物ザゼンソウの生存戦略に手がかり〜ザゼンソウは積雪に強く多様性が高いことが明らかに〜

2023年08月01日 掲載

植物の中には、花の温度を上昇させることができる「発熱植物」が100種近くあることが知られています。発熱によって花を暖かくしたり匂いを拡散したりすることで昆虫を誘引して、花粉を運ばせると考えられています。ザゼンソウの仲間は北東アジアの寒冷地に生息し、花が咲く1週間程度の期間中体温を20℃近くに維持しています。一方、近縁で小ぶりな花をもつヒメザゼンソウではこのような性質は見られません。また、なぜザゼンソウが他の発熱植物と異なり寒冷地で発熱するのかはわかっていませんでした。

発熱植物ザゼンソウの生存戦略に手がかり
〜ザゼンソウは積雪に強く多様性が高いことが明らかに〜

農学部植物生産環境科学科稲葉靖子准教授とかずさDNA研究所は、国内に記録されているザゼンソウとヒメザゼンソウの分布情報と環境データを突き合わせることで、発熱するザゼンソウの方が、発熱しないヒメザゼンソウより雪深い地域に生育すること、2万年前の最終氷期にはザゼンソウはすでに現在に近い分布を示していたことを明らかにしました!
本研究の成果は、発熱する植物としない植物の異なる生存戦略を解き明かすための重要な手がかりとなります。
本研究成果は、2023年7月15日(土)に国際学術雑誌Ecology and Evolutionにおいて、オンライン公開されました。

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▽詳細はこちらから▽
・プレスリリース 2023/8/1
 https://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/20230801_01_press.pdf

・研究者データベース
 稲葉 靖子 https://srhumdb.miyazaki-u.ac.jp/html/100000865_ja.html

【原論文情報】
論文タイトル: Potential contribution of floral thermogenesis to cold adaptation, distribution pattern, and population structure of thermogenic and non/slightly thermogenic Symplocarpus species.
著者:Mitsuhiko P. Sato, Ayumi Matsuo, Koichi Otsuka, Kohei Takenaka Takano, Masayuki Maki, Kunihiro Okano, Yoshihisa Suyama, Yasuko Ito-Inaba
掲載誌:Ecology and Evolution 13:e10319
 DOI:https://doi.org/10.1002/ece3.10319

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