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宮崎は日本のサンディエゴ ~リゾート環境で研究に専念する医学部教授~ 西頭 英起(にしとう ひでき)さん

掲載日:2021年11月29日
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西頭 英起(にしとう ひでき) さん

医学部機能生化学分野 教授 / フロンティア科学総合研究センター副センター長
1967年生まれ

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 大阪府生まれで東京都育ちの西頭さんは、1997年に東京医科歯科大学で博士号(歯学)を取得。2012年に、宮崎大学医学部機能生化学分野教授として採用される。
 2021年7月、超高齢化を迎えた我が国で問題となっている認知症やパーキンソン病などの脳神経疾患などで起こる、脳の萎縮に関係する新しいメカニズムを世界で初めて明らかにして、国際誌「米国Cell Pressの学術誌雑誌『iScience』(アイサイエンス) 」(2021年7月23日号)に掲載されました。この研究は、西頭さんが研究代表者を務め、東邦大学や東京大学、理化学研究所などと連携して発表されたものです。
 趣味は海遊び。愛犬は豆柴のシュン。日の出前からサーフィンをした後、自宅に帰って愛犬の散歩をしてから出勤するのが日課。高校生の頃からウインドサーフィンを始め、宮崎大学赴任をきっかけにサーフィンを始める。
 ホームポイントは木崎浜で、「自宅を出て左に行けば海、右に行けば職場という夢のような環境があるからこそ、研究に専念できる」と語る。週末は、大学ウインドサーフィン部の学生さんたちと海を滑走することもあり、家族で青島に行きシュンと遊ぶのが何よりのリラックスタイム。

Q.宮崎に来たきっかけを教えてください。

 基礎生命科学研究者として自由に研究できる環境を求めて職探しをしていた時に、現在の研究室の教授職の公募があり応募し採用していただきました。宮崎大学は、基礎研究に力を入れている大学として全国的にも有名です。好きな研究をすることができ、毎日がとても充実しています。

Q.この分野を専門とするようになったきっかけを教えてください。

 大学院生の頃から「細胞がストレスを受けるとどんな反応をするのか?」ということに興味を持ち研究してきました。細胞の反応がうまくいかないときに、私達の体にはいろいろな不具合(病気)が生じます。とくに最近では、超高齢社会で問題化しつつある、脳の病気に着目して研究しています。

20211201_hito_nishitou_01.jpgイラスト:細胞内の様子を描いたもので、西頭さんたちの研究が雑誌の表紙を飾った。

Q.宮崎は日本のサンディエゴだとおっしゃっていますが、どのような理由でしょうか?

 学会などで海外に行くことがありますが、サンディエゴは私が最も好きな街の一つです。そこには、カリフォルニア大学サンディエゴ校やソーク研究所など世界最高峰の研究施設が幾つもあり、優秀な研究者が世界中からたくさん集まっています。
 サンディエゴにいる研究者の友人は、毎朝サーフィンをしてから研究室に行くと聞き「夢のような街があるんだなぁ」と、東京の満員電車に揺られながら羨ましく思っていました。
 45歳で宮崎に赴任し、そんな誰もが羨む環境がありました!海外の友人に「宮崎はどんなところ?」と聞かれ、一言「日本のサンディエゴだ!」と答えると、誰もが「日本に行ったら絶対寄るよ!」と言います。実際、何人か来て堪能して帰りました。全47都道府県に行ったわけではありませんが、おそらく宮崎は私が一番好きな県です。サンディエゴのように、海や山、ゴルフなどを楽しみながら自由に研究する若者が、もっともっと集まってくれることを願っています。

20211201_hito_nishitou_04.jpg写真:サンディエゴの海、崖の上にたくさんの大学や研究所があります

Q.脳の委縮メカニズムを解明したとのことですが、具体的にどのような可能性があるか教えてください。

 超高齢社会の日本で社会問題となるのが、脳の疾患、つまり認知症やパーキンソン病などの神経細胞がうまく働かないために起こる病気です。最近の科学の進歩により、病気の原因については多くのことがわかってきました。
 私達が研究している脳萎縮は、ほぼすべての脳疾患や老化した脳で起こる現象です。このメカニズムを明らかにし、それに対する薬が開発されれば、病気や老化によって起こる記憶や運動機能の低下を予防したり改善させることができるかもしれません。
 今は治せない病気でも、研究によって何かを発見し続けることで、いつか病気を克服し豊かな老後を迎えられる社会が来ることを願っています。

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(病態モデルマウスの脳(右)ではコントロールのマウス(左)に比べ、神経細胞が萎縮します)
詳細はこちら:脳の萎縮のメカニズムを解明(プレスリリース2021/7/15)

Q.留学経験についてお聞かせください。

 大学院卒業後にロンドンへ留学しました、31歳の頃です。正直に言いますと、その経験は私にとってロンドンの空模様のように「どんより」したものでした。
 小さい頃からなんとなく世界に出たいと思っていたので、意気揚々と出国しました。しかし、研究が思うように進まず、仕事で初めて大きな挫折を味わいました。結局1年ほどで帰国することになり苦い留学経験でしたが、日本から出て初めて分かったことはとても多かったです。その後の自分の考え方が大きく変わり、どんな経験も無駄になることはないと信じ、今に至っています。こうして宮崎大学で研究を続けていられるのも、あの頃の経験があったからだと思います。

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写真:留学していたロンドン大学の研究所

Q.高校生や大学生にメッセージがあればお願いします。

 私は、もともと歯科医師になるために大学へ進学しました。大学院も口腔外科という臨床の診療科でした。しかし、基礎研究を続けているうちに、誰よりも早く何かを発見することに喜びを感じるようになりました。たとえそれがどんな小さな事象でもです。研究はtrial and errorの連続ですが、たまに得られる成功体験が、現在も研究を続ける理由です。
 大学講義や高校での出前講義などでは、いつも学生の皆さんに「今イメージしていることが将来の仕事になるとは限らないかも?」と話しています。もっともっと外の世界に触れて、予想外の将来があるかもしれないことを知っていただきたいです。きっと皆さんが「輝ける場」がどこかにあると思います。


20211201_hito_nishitou_08.jpg写真:愛犬のシュン。一人での留守番が大嫌いで、朝の散歩がいつも長引く。

20211201_hito_nishitou_09.jpg写真:2019年にサーフィンの世界大会であるISAワールドサーフィンゲームズが木崎浜で開催された時の様子。
全国各地から宮崎県の良質な波を求めて移住してくるが、その中でも木崎浜は、年間を通してコンスタントな波に恵まれ、
空港からのアクセスも良いことから全国的にも知名度の高いビーチ。

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写真:海上がりの西頭さん(2021年11月木崎浜にて撮影)

 宮崎大学の研究交流、共同研究が盛んになることを期待して、木花キャンパスと清武キャンパスの若手研究者に研究内容を紹介していただくMiyazaki Bio Seminar Seriesを偶数月の第一月曜日の昼休みにwebで開催しています。ぜひお気軽に昼食をとりながらご視聴ください。
詳細はこちら>>>https://miyazaki-bio-seminar-series.jimdosite.com

〇研究者データベース 西頭 英起‥ https://srhumdb.miyazaki-u.ac.jp/html/100000842_ja.html
〇宮大のひとシリーズバックナンバー‥https://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/public/folder760/index.html

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